Fre00791 致死性の高い流行病がなぜあるのか

#0000 sci6407  9102180938

致死性の高い流行病が繰り返し蔓延するのはなぜでしょうか?


#0001 sci6407  9102180939

エイズウィルスがみつかって、まだ10年にも満たないのに、すね
に傷もつやからは戦々恐々。 なにしろ、 その死亡率たるや・・・
クワバラクワバラ。 でも、やつらは少数の近縁の類人猿(チンパンジーな
ど)を除けば、人間にしか寄生しない。宿主を殺してしまってどう
すんの?

ペスト菌。いまではほぼ絶滅した。その歴史をひもとくと最初の流
行が6世紀で、ローマ帝国の人口が半減した。14世紀には、ヨー
ロッパの人口が3割方減った。17世紀にもイギリスで蔓延してい
る。

流行病はやっかいなものだが、こうして死亡率の高い病気があるの
はなぜだろう? なによりも、それが、繰り返し流行するのはなぜ
だろうか?

なにしろ、宿主を殺してしまうような寄生生物が、安定して生存す
る条件は考えにくい。宿主を滅ぼすことが、みずからの種の絶滅を
意味するからだ。そんな生物は「適応」できず、進化の「自然淘汰」
の過程で絶滅するはずではないだろうか? それなのに、最初の流
行の後に絶滅せず、しかも世界のどの地域にも流行の記録がないま
ま数百年も生き残り、あるとき突然流行する。

これはなぜだろうか?
                               Alopex


#0002 sci1395  9102200033

では、ということで、医学の知識も生物学の知識もない私が想像で、
ポロポロと考えてみたことを少し....

1.冷凍保存
極氷などの中で芽が冷凍保存される。何かの拍子に解凍された奴が、
気流に乗ってフワフワと飛んでくる。ちょうどいい温度の地域で人間
に出会うとそこで増殖を始める....

2.いい加減にしなさい
ある程度流行が進行して人間の数が減ってくると、発病する割合が減
る。つまり、菌を持っているけど発病しない人間の数が徐々に増えて
いく。そうやって人間が絶滅してしまわないように調節している....
この調節機構が一段落すると再び発病する割合が爆発的に増え、大流
行に発展する?

3.他種隠れ蓑
実はこれらの菌は人間を宿主にしなくても生存が可能で、他の動物に
寄生しているときは病気の原因にならない。何かの条件で爆発的に数
が増えたときにだけ人間にも寄生して、病気の発生を引き起こす。

4.頻繁突然変異
実はこれらの菌の素になる別種の無害な菌がいて、ある周期で突然変
異を起こす。突然変異の結果有害な種が発生すると病気が流行する。
何度か流行を繰り返している、同じものに見える菌は、実は別々の変
異の結果の産物....

どうにも荒唐無稽で、ごめんなさい。
                                                        MNEMO


#0003 sci2993  9102200920

そーですねー..もう一個。

エイズなどもこうだったらしい と言われている説

風土病地区がある:きわめて致死率の高い病気でも抵抗性のある人たちが
いて保菌者のわりには発病がすくない地区がある。ここから外にでると
大流行する。
ところで、日本に梅毒が入ったのは戦国時代らしいですが、当初「鼻もげ」
までした梅毒も、江戸期遊廓では「かさっかき」程度にまで弱毒化しました。
一定の集団内でウィルスをたらい回しするとウィルスが「人にやさしく」な
るようです。おそらく、強毒のものよりも弱毒のもののほうが生存に有利と
いうことが関係してくるのでしょうけど。

MAT


#0004 sci6407  9103221651


RE #2 > MNEMO さん

おもしろい考えをありがとうございました。

1.じつは、病原菌といえどもたった一個体だけで人間を病気にす
ることは、まずできません。ある程度の数(1万個とか10万個)
が必要です。氷のなかで保存された芽が人間に出会っても、ちょっ
と数が不足かと・・・

2.ペストの大流行をみても、それは一世代の間隔ではなく数世代
の間隔です。免疫が世代間に伝わらないとすれば、その間の病気の
不在は理解できません。しかし、病原菌が人口調節にあずかるため
に進化的に人間との共生が可能だというのは、おもしろい見方だと
思います。なにかの条件のもとでは成立するかも知れません。

3.ペストの場合は、大流行の合間には人間に流行が認められない
ため、ネズミが病原菌を伝えているのだと考えられていたようです。
よくは知らないのですが、同じペスト菌がネズミでは病原生が低い
ということはないようです。原理的には可能なのですが、具体的に
は証明されていないようです。

4.これも卓越した見解だと思います。実際に起こっているという
証拠はないでしょうが。遺伝子のなかには特定の部位で変異が好発
するようです。そして、そこが変異を起こした場合に菌の適応的な
対応が変化することも、ありうるでしょう。(人間の場合には、遺
伝的に優勢の致死性の高い遺伝病の成因は、特定部位の突然変異だ
と考えられています)。

RE 3 > MAT さん
 風土病地区の存在というのは、ぼくが5年前にアフリカを訪れた
ときには、当地でひどく毛嫌いされていた説でした。フランスの研
究者の偏見だというのです。エイズが広がっている地帯の道徳では、
性はかなり解放的です。また、人間どうしが接触しない「秘境」は、
探検物語ではともかく、まずありえません。
 ただ、エイズのようなレトロウィルスの場合には、ペストの流行
とはちょっと別に扱うべきでしょう。場合によって遺伝子に組み込
まれる可能性がありますから、否応なしの共生が生じるかもしれま
せん。

要するに、病原菌といえども人間と「共生」しているのだと考える
とき、宿主とひどく利害が衝突する場合の、とてもおもしろい例だ
と思います。

                                       Alopex


#0005 sci6407  9103221653


ところで、病原菌といえども人間という種と「共生」しているとし
たとき、 そしてMNEMOさんの2のアイデアのように、人口調節にあ
ずかっていると考えるとき、医療の進歩はどうとらえるべきなので
しょう。

現在の人間の抱える諸問題の多くは、人口に起因しています。ほん
の5万年前には人間の人口は5000万人でした。地球には森が広
がり、人々は食べるだけの植物と動物を手にいれ、ときには捕食獣
の餌になっていました。いまのエネルギー、炭酸ガス、飢饉、領土
の問題などは、人口が増えなければ問題なかったはずです。

人口が増えると、森はなくなり、魚はとりつくされ、耕地は人口を
支えられない。医療は、個人の「死」を伸ばしてくれるかけがえの
ない価値あるものですが、ヒトという種を考えるとき、個人の「死」
はむしろ望ましいときもあるのです。

自然淘汰のままに委せてきた時代の体と心をもっている人間が、人
口調節と欲望の調節に成功しなければ、その未来はないと思います。

                                       Alopex


#0006 kepel    9103222249

揺らぎ的な考えもひつようなのかなあと思います。
決して、現実の生物世界はボルテラの方程式のように進みません。

注
:ボルテラの方程式とは、餌とそれを食べるものの数を変数に作った
連立方程式で、ある条件の元には周期的な解(増えたり減ったりする)
を持つことが知られています

    kepel